チュートリアル:ブログ出版局で小説を本にしよう
- Posted by: gnn • 2010/03/01
1. はじめに
ブログ出版局では、あなたが執筆した小説のテキストデータを本にすることができます。
縦書きスタイルと文芸書製本サービスを組み合わせれば、市販の小説本にも引けをとらない、あなただけの一冊を作ることができるのです。
ただし、小説のデータをブログ出版局にアップロードするには、ちょっとしたコツがいります。
このチュートリアルでは、サンプルの小説データを使って、小説を実際に一冊の本にするまでのプロセスをご案内します。
2. サンプル小説データのダウンロード
今回のチュートリアルで使うサンプルの小説データ*(プレーンテキスト形式)を、こちらからダウンロードし「undermon_001.txt」という名前で適当な場所に保存してください。
* このサンプルデータは本チュートリアルでの使用のみを目的としたものであり、本チュートリアルで使用する以外の本文改変行為・無断転載・再配布等はご遠慮ください。
3. 小説データの内容をチェックし、本の構成を考える
ダウンロードした小説データを、テキストエディタ(Windowsなら標準付属のメモ帳やフリーソフトのTerapadなどが有名です)で開いてみましょう。小説を本にする前に、全体の章立てや目次の有無など、これから作る本の構成を事前に考える必要があります。そのために、本体の小説データとは別に、小説全体の構造を書き出したテキストを事前に作成しておくのが便利です。
サンプルの小説データは、以下のような構造になっています。
● 序 ● プロローグ ● 第一章 小さな反乱者 ○ 1節 ○ 2節 ○ 3節 ● 第二章 捕らわれの女 ○ 1節 ● 第三章 類は友を呼ぶ ○ 1節 ● エピローグ ● あとがき ● 著者略歴
ブログ出版局のシステムは、ブログの記事を流し込むことを想定して作られていますので、小説データを「ブログデータ」のように加工する必要があります。一番簡単なのは、上から順番に、古い日付から新しい日付のブログ記事と考えることです。次のリストの青い文字の部分が、小説の各部分をブログ記事とみなした場合の、仮の「記事タイトル」と「日付」になります。
● 序 (タイトル: 記事001 日付: 2010/01/01) ● プロローグ (タイトル: 記事002 日付: 2010/01/02) ● 第一章 小さな反乱者 ○ 1節 (タイトル: 記事003 日付: 2010/01/03) ○ 2節 (タイトル: 記事004 日付: 2010/01/04) ○ 3節 (タイトル: 記事005 日付: 2010/01/05) ● 第二章 捕らわれの女 ○ 1節 (タイトル: 記事006 日付: 2010/01/06) ● 第三章 類は友を呼ぶ ○ 1節 (タイトル: 記事007 日付: 2010/01/07) ● エピローグ (タイトル: 記事008 日付: 2010/01/08) ● あとがき (タイトル: 記事009 日付: 2010/01/09) ● 著者略歴 (タイトル: 記事010 日付: 2010/01/10)
この場合の日付は、あくまで文章の順番を指定するために後から割り振ったものです。(実際に記事が書かれた日付等とは無関係)
ブログと違って、小説には「章立て」があります。サンプルデータには、第一章から第三章までの文章がありますが、これを本にする時には、各章ごとに文章をまとめて掲載する必要があります。
ブログでは、書いた記事の題材ごとにタグ(「旅行」「グルメ」「音楽」「スポーツ」など)をつけて、記事をカテゴリーに分ける事があります。このためブログ出版局には、ブログの記事を書いた日付の順番ではなく、カテゴリーごとにまとめて掲載するオプションがあります。
小説データをアップロードする場合、「カテゴリーの名前」=「各章の名前」とすれば、章ごとに文章をまとめるオプションが使えます。(同じカテゴリー内では、記事は日付の順番に配列されます。)具体的には、
● 序 (タイトル:記事001 日付: 2010/01/01 カテゴリー:その他) ● プロローグ (タイトル: 記事002 日付: 2010/01/02 カテゴリー:その他) ● 第一章 小さな反乱者 ○ 1節 (タイトル: 記事003 日付: 2010/01/03 カテゴリー:第一章 小さな反乱者) ○ 2節 (タイトル: 記事004 日付: 2010/01/04 カテゴリー:第一章 小さな反乱者) ○ 3節 (タイトル: 記事005 日付: 2010/01/05 カテゴリー:第一章 小さな反乱者) ● 第二章 捕らわれの女 ○ 1節 (タイトル: 記事006 日付: 2010/01/06 カテゴリー:第二章 捕らわれの女) ● 第三章 類は友を呼ぶ ○ 1節 (タイトル: 記事007 日付: 2010/01/07 カテゴリー:第三章 類は友を呼ぶ) ● エピローグ (タイトル: 記事008 日付: 2010/01/08 カテゴリー:その他) ● あとがき (タイトル: 記事009 日付: 2010/01/09 カテゴリー:その他) ● 著者略歴 (タイトル: 記事0010 日付: 2010/01/10 カテゴリー:その他)
ここでの赤い文字の部分が、小説をブログ記事とみなした場合のカテゴリー名になります。第一章から第三章のそれぞれに含まれる記事(記事003~記事007)に、属する章と同じ名前のカテゴリー名が付けられているのが判ります。「序」や「プロローグ」などの記事は章には含まれないので、カテゴリー名を「その他」としておきます。
4. 小説データをMovableType形式に加工する
どのような本にするかが決まったら、小説データをテキストエディタで開いて、ブログ出版局で使われている MovableType形式に加工します。MovableType形式といっても特別なものではなく、普通のテキストファイルに、記事のタイトルや区切りなどの文字列(ヘッダ文字列)を追加したものです。
サンプルの小説データをMovableType形式に加工したものが、こちらにおいてあります(undermon_002.txt)。ダウンロードしてテキストエディタで開き、元のファイルがどのように加工されているかを確認しながら、下の解説を順番に読んでみてください。
- ヘッダ文字列は、以下のような構成にします。
AUTHOR: midorikawa [作者名。適当な英語の文字列] TITLE: [節のタイトル。目次に表示したくない場合は空白] CATEGORY: 第一章 小さな反乱者 [カテゴリー名。各章の頭と目次に表示される] STATUS: publish [必ず入れる文字列] CONVERT BREAKS: 1 [必ず入れる文字列] DATE: 01/01/2010 13:00:00 [月/日/年 時:分:秒]
- ヘッダを各記事の前に挿入します。
AUTHOR: midorikawa TITLE: CATEGORY: 第一章 小さな反乱者 STATUS: publish CONVERT BREAKS: 1 DATE: 01/01/2010 13:00:00 ----- [本文の開始。"-"が5個] BODY: [ここからが印刷される本文] 1 [節のタイトル。本文に書かれているので、印刷はされるが目次には表示されない] 「だから頼んでいるんじゃない。一緒に手伝ってちょうだいって」 風に舞う薄茶色の髪を、慌てて片手でなでつけながら、そばにいる少年に問い掛ける。 「ターシャ。僕は止めた方がいいと思うよ」 少年はそう返事を返す。麻糸で織られた短衣に、薄紫の外套を着ているターシャと呼ばれた少女は、 もう聞き飽きたわ、その言葉、と言うと、自分も少年と同じように草むらに座り込んだ。心地良いそ よ風が梢をくすぶり、奇麗な色になった葉を落としている。ターシャは再び切りだした。 「アルグ、あなたも知っているでしょ。あの領主が私達から余分に税を取って、貯め込んでいるのを」 「そりゃあ、僕だって知っているよ」 「だったら、なぜあの男を懲らしめるのを手伝ってくれないの?」ターシャはここぞとばかりに懇願し た。髪の色と同じ色の瞳は、周囲の森とよく調和している。そんな円らで美しい双眸に見つめられたア ルグは、複雑な感情に捕らわれて視線を外した。そして、「まだ方法も考えていないのに?」と尋ねる。 (以下略) ----- [本文の終わり。"-"が5個] -------- [記事の区切り。"-"が8個] AUTHOR: midorikawa TITLE: CATEGORY: 第一章 小さな反乱者 STATUS: publish CONVERT BREAKS: 1 DATE: 01/02/2010 13:00:00 [順番を明確にするため、前の記事から日付を+1日する] ----- BODY: 2 「そこまでだ、二人共。ニトルシアに対する反逆の罪でこの私が成敗してくれる!」 二人の唇が触れる寸前、太い男の声がだしぬけに森の奥から響き渡った。ターシャもアルグも驚いて 立ち上がる。おやおや、どうやら計画倒れのようだね、とアルグは小声でターシャにささやきながら、 ターシャとの間隔を開けて、魔法を唱える準備をし始めた。 「誰? 村の人?」ターシャが叫んだ。男からの返事はない。「もし村の人間なら知っているでしょう ? この村の領主が村人に重税を課し、自分はその一部を貯め込んで遊んで暮らしているのを」 辺りの様子を伺うが、この森は常緑樹が多く森自体も大きいので、姿は見えない。 (以下略) -----
- 「プロローグ」「あとがき」「著者紹介」など、特殊な記事の場合は、ヘッダに専用のタイトルを記入します。
AUTHOR: midorikawa TITLE: %%まえがき「序」 [「序」というタイトルでまえがきを作成。目次ページの前に掲載される] CATEGORY: その他 [章に含まれない記事のカテゴリー名はすべて「その他」としておく] STATUS: publish CONVERT BREAKS: 1 DATE: 01/01/2009 13:00:00 [本文より前にくる記事なので、時間を-1年してある] ----- BODY:[自動的にタイトルが入るので、本文内の「序」の文字は消す] 遥か人智を超えるほど昔、我等が万能なる主神ネルピアは、父神ソーンと母神シャールを作り出した。 二人は様々な神々を産み、永遠と思える平和を貪っていた。しかし、二人の子ラトゥールは権力の支配 に目覚め、二人を弑て自ら取って替わろうとする。だが、二人とその子達の前にあえなく果てた。二人 はラトゥールの骸を以て神界よりさらに下の世界を築き、そこに原始の人、四大精霊を産み出したが、 ラトゥールの悪しき子等によって原始の人は滅せられてしまう。神々はその悪しき邪神の血を引く者を 討ち滅ぼす傍ら、精霊達に命じて再び世界の創造を行なわせた。 精霊達は原始の人の骸より古代神人を作り、父母神はそれに祝福を与えた。その古代神人と精霊との 交わりによって亜人類が生まれ、天地創造はうまくいったかのように見えた。しかし、長年に渡る邪 神との戦いは、父母神の子等に影響を与え、泉の女神リベラの双子の姉、サスペルを初めとして数多く の神々が悪しき者と化した。ここで神々同士の熾烈な戦いが始まった。邪神に惑わされし神々を打ち破 ったものの、父母神も傷つき、その子等のほとんども敵の刃に倒れた。その戦いより「死」が始まり、 輪廻転生が始まった。そしてまた、神々は休息のために自分の世界に戻った。以上の三つの世界を、神 界、精霊界、妖精界と呼称する。 (以下略) ----- -------- AUTHOR: midorikawa TITLE: %%プロローグ [プロローグというタイトルでプロローグを作成。目次ページの後に掲載される] CATEGORY: その他 STATUS: publish CONVERT BREAKS: 1 DATE: 01/02/2009 13:00:00 ----- BODY:[自動的にタイトルが入るので、本文内の「プロローグ」の文字は消す] ――ピチョン。 いくつもの水滴の垂れる美しい響きが、辺りの闇と静寂に吸い込まれるようにして消えていった。闇 といっても完全な暗闇ではなく、所々に生えて微かな光を発している地衣類のおかげで辺りはおぼろげ に見る事が出来る。そこは、常に湿っており、昼も夜もない、地の底の世界である。 大人が二人、並んでやっと通れるような狭い通路である。通路とは言っても、ほぼ一定間隔にある木 製の支柱を除けば、なんら普通の洞窟との相違を見いだす事はできないような代物であった。 今、この通路の片側から、弱々しいがはっきり光とわかる物が、微かな足音と共に近づいて来た。力 強く、自信に満ち溢れている若者の足音だ。そして、足音は通路が一部広くなっている所で止まった。 金銀の装飾が施され、一目で高級品と分かるランプの明かりを受けて、通路の壁や天井の岩石は本来の 茶色っぽい色を取り戻していた。この明るさの中で、まだ闇の色を残している物体が五つあった。よく 見ると、人が黒い服を着てうずくまっているように見える。 (以下略) ----- |
4. ブログ出版局で見本を作成する
小説データの加工が終わったら、早速ブログ出版局に流し込んで本にしてみましょう。以下のフォームは小説向けに、あらかじめ幾つかのオプションを設定したものです。通常の見本作成ページよりも簡単に、小説の見本を作成することができます。
見本作成には、加工済みサンプルデータ undermon_002.txt を使用しても、自分の小説データを加工して使用してもかまいません。自分のデータを使う場合は、タイトルや著者名などを適宜書き換えてください。
5. 出来上がった見本をチェックする
ブログ出版局が見本の作成に成功すると、ブラウザに以下のような内容が表示されます。("id=27F6E5AEDE3DB432"の部分は毎回変わります)
0 https://print.cssj.jp/2/info/ifint/queue.php?id=27F6E5AEDE3DB432&r=https://print.cssj.jp/2/b2c/proof.php
表示された内容から"https://..."以下のURL部分をコピーして、ブラウザのアドレス欄にペーストすると、見本確認ページに移動することができます。
作成されたPDFを見て、できばえをチェックしてみてください。